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食事シーンのヒヤリハット

 食事に関する心身機能は加齢とともに低下し、その結果、誤嚥・脱水、義歯の不具合、箸やスプーンを持つ手がうまく動かない、などのリスクが食事には伴います。

 利用者が安全に食事ができるよう、介護職員はさまざまなリスクに気付くことが重要です。

<食事シーンのヒヤリハット
について考えてみよう!>

 下のイラストには4つのヒヤリハットが書かれています。どこにリスクがあるか考えてみましょう。

「食事シーンのヒヤリハットについて考えてみよう!」の画像

ヒヤリハット①
介護職員が立ったまま食事介助を
行なっている

ここが危ない!

「食事シーンのヒヤリハット①」の画像

 立ったまま食事介助を行なうと、むせ込みや誤嚥を起こしてしまうリスクがある

原因

 立ったままの介助は顎が上がるため飲み込みにくくなり、むせ込みや誤嚥のリスクが大きくなります。
 また、上から利用者を見おろすような姿勢での介助は、威圧感を与えたり、対等でない印象を与えます。利用者の尊厳を大切にするという意味でも良くない介助方法です。

対策

 利用者が深く座り、足底が床につき、顎を引いて少し前傾の姿勢をとることで飲み込みやすくなります。
 介護職員も座り、目線をあわせての介助が求められます。

ヒヤリハット②
食べ物や汁がテーブル下の床にこぼれている

ここが危ない!

「食事シーンのヒヤリハット②」の画像

 食べ物や汁がこぼれていることに気づかずに立ち上がり、転倒してしまうリスクがある

原因

 高齢者のなかには、箸やスプーンがうまく使えないため、食べ物を皿から口までの間でこぼしたり、また、食べ物をうまく飲み込めず口からこぼす場合もあります。
 立ち上がろうとしたときに、床にこぼれた食べ物や汁に足をすべらせ転倒するリスクがあります。

対策

 床の状態に注意し、食べこぼしなどに気づいたら速やかに清掃しましょう。

 食べこぼしを減らすには、安定した姿勢を保つことがポイントです。手に麻痺や握力低下がある場合には使いやすい箸やスプーンの導入、食べこぼしが多い場合には食事用エプロンの使用を検討します。
 口や舌を動かしにくいことが原因で口からこぼす場合は医療との連携も大切です。

ヒヤリハット③
食事をとろうと口をあけたときに部分入れ歯が外れて、あわてて吐き出している

ここが危ない!

「食事シーンのヒヤリハット③」の画像

 食事の際に部分入歯がはずれ、誤飲してしまうリスクがある

原因

 部分入歯の金具にゆるみや変形が生じたり、金具のかかっている歯がぐらついていると、はずれやすくなります。
 もし、食べ物と一緒に飲み込んでしまった場合、生命にかかわる重大な事故につながることがあります。

対策

 介護職員は日ごろから利用者の口腔内を把握しておくことが大切です。
 利用者の羞恥心やプライドに配慮した声かけをしつつ、食前には必ず部分入歯の装着時のぐらつきがないか確認をさせてもらうことが大切です。

 定期的に歯科医による調整の機会をもつことも必要です。

ヒヤリハット④
異食のある利用者がいる食堂のテーブルの上にティッシュと花が置いてある

ここが危ない!

「食事シーンのヒヤリハット④」の画像

 認知症の利用者がティッシュと花を食べ物と間違えて食べてしまうリスクがある

原因

 認知症の利用者のなかには、食べ物とそうでないものの区別がつかなくなる「異食」という症状が現われることがあります。
 食べ物の認識があいまいになったり、危険に対する認識が低下することによって、目にふれるものを口に運んでしまう行動といわれています。
 もし、口に入れてしまたら、重大な事故になり得ることが予測されます。

対策

 利用者の認知能力に応じて、食べ物と誤認しやすいものを目にふれさせない、または、手の届かないところに置くようにします(食堂だけではなく、居室などにおいても同様です)。

知っておきたい①事故(アクシデント)とヒヤリハット(インシデント)はどこが違う?

 一般的な介護現場での判断基準では以下のように区分されています。

事故(アクシデント)

介護サービス提供に伴い起こった事故
(例)イスからの転落(ケガの有無は問わない)

ヒヤリハット(インシデント)

事故が起こりそうだったが未然に防ぐことができた状況
(例)転落しそうになったところを発見し、なんとか転落しないですんだ

 ただし、介護現場ではさまざまな状況が発生するため、事故とヒヤリハットのどちらに区分するか難しい状況も起こります。
 これを明確に区分する統一的なルールはないので、各事業所内でルールを決め区別しています。

 事故とヒヤリハットを厳密に区分することが重要ではなく、原因を分析して再発防止を講じることが重要です。

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