介護の魅力・専門性はこれだ!「してあげるケア=介護職上位」
前回、「介護職のimageをよくするには、介護を受ける方たちのimageをよくする必要がある」と書きました。介護が必要になっても笑顔で楽しそうに外出し、その人らしく生きている。こうなれば、介護が必要な方たちを支える介護職のimageもよくなるのです。
読者の皆さんは、介護が必要な方たちを支える介護職はどんな想いで介護の仕事をめざし、日々の介護を実践していると思いますか。
新卒も中途採用も介護の仕事をめざす人の多くは介護が必要な人に「○○してあげたい」という思いを抱きます。「自分がかかわることで歩行や排泄など、ご利用者(介護が必要な方)のできることを少しでも増やして笑顔を見たい」「食事・排泄・入浴・移乗介助といったご利用者ができないことを補って、人の役に立ちたい」といった感じです。この入口が大きな間違いなんです。
これではご利用者へのimageが世間の方たちと同じで、介護が必要な「かわいそうな人」「大変な人」になってしまっています。介護職になる方がご利用者に対してこのimageのまま入職してしまうのはかなりまずいのです。
介護の現場では、「食べさせる」「座らせる」「飲ませる」といった「させる」ということをよく耳にします。これは医療の現場でも同じです。教科書にいまだに書いてあるので、ある意味仕方のないことなのかもしれません。
「◯◯してあげたい」から入るこの考えではある矛盾が生まれます。人の生活を支える介護職にもかかわらず、上から目線の「してあげるケア」(介護職上位)になり、主語が介護職になってしまうのです。
ご利用者がどうしたいかではなく、介護職がどうしてあげたいか。これでは介護を受ける方たちのimageをよくすることなんてできません。よく介護施設で外出の行事起案書が出されますが、その外出の行き先はご利用者が行きたい場所ではなく、介護職が行く場所を決めているなんてことも多いのです。この入口の教育をしっかりしないとおかしなことになります。「してあげるケア」では相手の反応を期待しますから、相手の反応が自分の期待と違えば、時には虐待に繋がることがあるかもしれませんし、離職に繋がることもあるでしょう。まずはこの間違いに気付きましょう。
【執筆者プロフィール】
杉本 浩司/すぎもと こうじ
メディカル・ケア・サービス株式会社。
元モデルで「かっこいい介護士」として注目され、各種メディアで話題の介護福祉士。