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介護の魅力・専門性はこれだ!「その人のあたり前の生活を守ること。それが介護の専門性だ!」

一般公開日:2020.03.22

 前回は、人の生活を支える介護職なのに多くの介護職が「してあげるケア」(介護職上位)になり、主語が介護職になっている現状を書きました。それでは、「介護職がどうしてあげたいか」ではなく、「ご利用者がどう生活をしたいのか」といった考え方にするにはどうしたらいいのでしょうか。

 世間の方たちが介護を必要とする方を見るときは「かわいそうな人」「大変そうな人」というimageから脱却できていないと説明しましたが、介護職も実はそれに近い教育を受けてしまっているのが現状なのです。介護が必要な方を目の前にして、その方を見た時に、私たちは「アセスメント」という本人の状態(身体・精神・環境等)を調査します。

 例えば片麻痺があって、立位が不安定な方であれば、私たちが「どう補えば」立位が安定するかということにばかり目がいってしまうのです。他にも、食事や排泄、入浴といった生活のあらゆる場面でこのようなアセスメントを行ないます。現状できないのだから「補う」ことは実際には必要なのです。だけど、「できないことを補う」この考えの元では「主語は介護職」になってしまいます。

 生活を支える専門職なのですから、そうではなく、本人がしたい生活をどうしたら取り戻せるかをアセスメントするのです。「してあげるケア」からの脱却と「その人のあたり前の生活を取り戻す」ことが介護の専門性だということにアップデートが必要なのです。主語はご利用者であって、私たちの仕事は「できないことを補う」ことではなく、「その人のやりたいことや夢を引き出し、それを叶えること」。介護職はその人の目的を達成するパートナーなのです。

 その人のやりたいことや夢を引き出したら、それを叶えるための基本的なケアが必要です。適正な水分摂取で覚醒状態をあげ、多くの栄養を摂り、体力をつけ歩行練習をする。入浴や排泄など日々の「ルーティン業務」と言われているものすべてはご利用者のやりたいことや夢の達成につながっています。そう思えると日々のルーティン業務にも意味が持て、モチベーションにもつながるのです。

【執筆者プロフィール】

杉本 浩司/すぎもと こうじ

メディカル・ケア・サービス株式会社。
元モデルで「かっこいい介護士」として注目され、各種メディアで話題の介護福祉士。

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