ご利用者の夢を叶える「宝地図を作ろう!」
前回のコラムで、介護の専門性は「してあげるケア」から脱却して「その人のあたり前の生活を取り戻す」ことだと説明しました。主語はご利用者であって、私たちの仕事は「その人のやりたいことや夢を引き出し、それを叶えること」、つまり介護職はその人の目的を達成するパートナーです。その人のやりたいことや夢を引き出したら、今度は宝地図(※)を作成して、「可視化」します。
[宝地図の作り方]
①ボードを用意し、その中心にご利用者の顔写真と名前を書きます
②その周りにやりたいことや夢をイメージした写真を貼り出します
③それぞれの写真には夢を叶える期限や条件を書きます
④その横に、書けるようであれば、夢が叶うと自身にどんな良いことが起きるかを書き込みます
⑤デコレーションなどをして、ご利用者が家で最も目にするところに飾ります
宝地図を飾るのは部屋のドアでもベッドの脇でもいいでしょう。その宝地図を写真に撮ってパソコンのデスクトップや携帯電話の待ち受けにしてもいいと思います。ポイントは目にする回数を増やすことです。
介護施設等の場合はご利用者の部屋のベッド脇やドアに飾るのがおすすめですね。以前、私がアドバイザーで入っていた施設では、同じ宝地図を二つ作り、一つは部屋のベッド脇、一つはリビングに飾っていました。
リビングに飾る理由は、ご利用者は日中のほとんどをリビングで過ごすからです。生活のなかで宝地図を目にする回数が多ければ、ご利用者との会話のなかで自然とそのご利用者の夢の話になりますし、双方が夢を叶えるためにできることを意識できます。ご利用者の部屋よりはリビングの方が広いので、そこに宝地図があれば、会話が盛り上がることもあるでしょう。そうなったら、すぐにその場で夢を叶えるための歩行練習や手先の運動等といった行動をとりやすいですから、なおいいですね。
職員にとっては日々の食事や排泄、入浴、移動といったルーティン業務も、すべてがやりたいことや夢を叶えること、目的の達成につながっていることを意識できます。
宝地図は作って終わりではなく、「夢を叶えるための行動をする」ためのものです。毎日、何かしらの行動をし続けると、やりたいことや夢は向こうから近づいてきてくれますよ。
※「宝地図」は、望月俊孝さん考案、ヴォルテックス有限会社の登録商標です。
【執筆者プロフィール】
杉本 浩司/すぎもと こうじ
メディカル・ケア・サービス株式会社。
元モデルで「かっこいい介護士」として注目され、各種メディアで話題の介護福祉士。