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Q7 介護事故の8割を占める「転倒・転落」はなぜ起こるのでしょうか?

公開日:2017年3月18日
Q7 介護事故の8割を占める「転倒・転落」はなぜ起こるのでしょうか?

介護事故がなぜ起こるかといえば、そこには「人は自分の意思をもって活動する存在である」という大前提があります。そのことをよく示しているのが、データ面で全体の8割を占める「転倒・転落」事故です。
 例えば、椅子からの転落という事故があります。座っている間、その人の活動は「静止」しているのだから事故は起こりようがない──などと考えがちですが、それでも転落するという事故は多々発生しています。椅子に座っている状態であっても、人は完全に静止しているわけではありません。自分自身の活動を振り返ってみればわかりますが、一定時間椅子に座っていれば、背筋・腹筋に疲労感が生じたり、お尻や足に負担を感じてくるものです。すると、その不快感や疲労感から逃れるために、無意識に身体をずらすなどの行動が生じるはずです。
 つまり、ここでは「身体的な苦痛を緩和しよう」という意思が働いて、わずかながらも「活動性」が生じているわけです。転落事故でよくあるのは、座った状態のまま、少しずつお尻をずらしたりしながら、やがて身体のバランスを崩して転落してしまうというケースです。この点を考えれば、歩いたり、立ち座りをしたりというはっきり確認できる活動以外でも、事故は生じるわけです。
 もっといえば、「その人が今どのような心理状況にあるか(苦痛を感じたりしていないか)」という点に思いが至らなければ、事故リスクはどんどん膨らんでいきます。座らせとけば安心、寝かせとけば大丈夫という具合に、まるで機械でも扱うように「人の意思」を無視したケアが続いていくと、必ず事故は増えることになります。身体拘束などがかえってリスクを高めることがありますが、その背景には「その人の気持ち」に思いが至らないことによる落とし穴が存在しているといえます。
 となれば、その人の今の心理状況をしっかり思いやることが、あらゆる事故防止の基本となります。介護現場などでよくいわれる「心のケア」をマスターすることも、そのまま事故防止につながる大切なスキルになるわけです。また、その人の生活観・価値観がその時々の心理状況を大きく左右することを考えれば、その人の「生活」に目を向けることも事故防止の基本として欠かせません。

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