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Q4 精神状況や認知面のリスクとはどのようなものでしょうか?

公開日:2017年3月18日
Q4 精神状況や認知面のリスクとはどのようなものでしょうか?

認知症の人のケアを行なっていると、ADL等の身体状況は十分に把握していても、それだけでは事故が防げないことがあります。例えば、自分自身の身体状況への認知が十分でないゆえに、歩行に際して介助が必要なのに立ち上がって転倒するといったケースが見られます。また、片マヒがあるにもかかわらず、マヒ側の手をつこうとして事故につながるパターンもあります(脳梗塞などで失認がある場合にも同様のリスクは高まります)。
 仮に初期の認知症であったとしても、周辺症状による精神的な混乱や動揺などがある場合、周囲のちょっとした言動などが感情を刺激して思わぬ動作(いきなり立ち上がったり、身体の向きを変えたり)を呼び、それが転倒などの事故につながることもあります。
 自分自身の身体状況だけでなく、周囲の環境に対する認知が衰えていることによるリスクも無視できません。交差点で赤信号なのに、「赤信号→停まる」という認知ができないためにそのまま渡ってしまおうとするケースがあります。煮立った湯に手を突っ込んで火傷をしてしまうという事故も見られます。
 こうした精神状況や認知面のリスクを把握するには、その人の心の状態にも思いを寄せなければなりません。これも日々の経過記録がポイントとなりますが、重要なのは、ちょっとした言動のなかに「リスクを把握するカギ」が潜んでいることに気付き、それをきちんと記せるだけの洞察力です。何気なく聞き逃してしまう、見逃してしまう言動にいかに注意を払えるかが求められます。
例えば、遠くのテーブルにある花を指して「あの花は見たことがある。とても好きな花だ」という言葉が聞かれたとします。高い関心を示しているということは、近くまで行って確認しようとするかもしれません。つまり、そこで立ち上がりや歩行という動作が発生し、ADL上のリスクがある場合は見守りが必要になるわけです。
このことに気付いて経過記録に記しておけば、その人がフロアにいる場合には近くまで花を持ってきて、移動しなくても見られるようにするなどという環境設定につなぐこともできます。小さなことですが、この積み重ねができるかどうかが事故防止につながっていきます。

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