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Q5 ADLは「自立」でも事故が発生することがありますか?

公開日:2017年3月18日
Q5 ADLは「自立」でも事故が発生することがありますか?

利用者本人の精神状況や認知の状況によってリスクが高まることを考えたとき、ADLが自立の状態であっても転倒などの事故につながることがあります。自分のことを振り返ってみましょう。道で、いきなり犬に吠えられて驚いたとします。そのとき、足元に注意を払わず、衝動的に駆け出そうとして障害物につまずいたなどという経験がある人もいるでしょう。ましてや、自立であっても「すり足」歩行などになることが多い高齢者では、つまずいたり転んだりする危険が高まるわけです。
 こうした状況を考えると、「自立歩行ができるから」「嚥下状態に問題はないから」というだけで、リスクゼロととらえてしまうことは危険です。大切なのは、その人の日常生活の流れがどこで変化するかという視点から、経過記録などを丹念に追っていくことが求められます。
 介護現場でよくあるケースとしては、服薬状況が変わることによって「ふらつき」などが生じやすくなるケース。いつもとは違う生活状況(外出で遠出などをしたなど)を経験することで、その後の疲労感などが変わってくるケース。あるいは、暑い日に外出などして、脱水などのリスクにさらされるケースなど。脱水というのは、それまで異常の見られない人でも突然に意識障害に陥るケースがあるので注意が必要です。
 また、2011年3月に発生した東日本大震災などで家や家族、財産などを失い、避難所など非日常的な空間のなかでの生活を長期間強いられたりした場合、それまで自立に近かった人が、心身に大きなダメージを負うことで一気にADL等の低下を招くことがあります。こうした「それまでしていた生活」ができない状況が生じるなかでは、さまざまなリスクが急速に高まっているととらえるべきでしょう。
 こうした生活状況の変化を見極めることは、本人リスクの③に示した「生活の意向に隠されたリスク」をキャッチすることにつながります。「自分が本当に望んでいる生活のあり方」が実現できていないなかでは、行動範囲も自然に狭くなり、潜在的なADL等の変化を及ぼしていることがあります。その意味で、その人の生活歴等をしっかり押さえながら、今この状況でリスクの高まりを生む要素がないかどうかを見極めることも大切です。

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