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Q22 利用者やその家族からの苦情はどう処理すればいいのでしょうか?

公開日:2017年3月18日
Q22 利用者やその家族からの苦情はどう処理すればいいのでしょうか?

介護現場では、利用者の身体に被害を与えてはいないものの、利用者やその家族から苦情として上がってくるケースがあります。これを「介護事故」と切り離して処理をしようとすると、その後の重大なトラブルを生む種となってしまいがちです。なぜなら、苦情というのは何らかの不利益を利用者側が感じたことによって生じるものであり、利用者側の精神状況や価値観にそった介護が行なわれていることが背景にあるからです。つまり、苦情が出てくる背景と介護事故を生むリスクというのは、同じ根っこから生じているケースが多々あるわけです。
 昨今は、特定の利用者から苦情・クレームが多かったりすると、「クレーマーだから……」という反応が現場で見られたりします。しかしながら、どんなに小さなことを問題にするケースであっても、これを放置しておくことで重大な事故リスクへと発展することがあります。
あらゆる業界で事故防止に際して参照されている理論に「ハインリッヒの法則」があります。これは、「生命等にかかわる重大事故」が1件発生した場合、その背景には29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件もの「異常」が生じているというものです。つまり、苦情・クレームを「異常」ととらえた場合、その処理がきちんとなされず蓄積されていくと、コップの水が溢れる瞬間が訪れるように、重大事故が引き起こされるという流れになっているわけです。
ただし、小さな苦情やクレームを現場が逐一対応していると、途端に現場職員の燃え尽きリスクが高まります。また、忙しさゆえに対応も中途半端になり、事故リスクへの発展につながりかねません。そこで、最初は現場に向けられた苦情・クレームであっても、必ず「苦情処理」専門の部署を作ってそこに上げることを義務づけます。そこで迅速にリスク分析を行なったうえで、今後の防止策を含めて利用者側に返す──これを積み重ねることで、徐々にクレームの行き先が専門窓口へと移行します。
大切なのは、リスクの所在を突き止めるべく、苦情当事者とコミュニケーションを繰り返すことです。この習慣は、利用者側の不信感のはけ口にもなり、事故発生時における訴訟などへの発展を防ぐブレーキとなります。

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