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Q19 高齢者虐待の兆候を見つけた場合にはどうすればよいでしょうか?

公開日:2017年3月18日
Q19 高齢者虐待の兆候を見つけた場合にはどうすればよいでしょうか?

 家族介護力の低下や介護者に多様なストレスがかかりやすい時代に、現場担当者などが高齢者虐待のケースに出会う場面が急増しています。06年4月から施行されている高齢者虐待防止法では、国民に対し「虐待を受けたと思われる高齢者を発見したとき」は、行政への速やかな通報義務を課しています。この場合、守秘義務に関する法律の規定よりも通報義務の方が優先されることになっています。さらに、現場の介護職などの専門職に対しては、虐待の早期発見に努めることや高齢者保護のための施策に協力することも義務づけられています。
 ここで問題になるのは、虐待を受けている高齢者自身が虐待の事実を否認したり、「通報しないでくれ」と申し出たなどというケースです。介護保険法の理念でもある「利用者の自己決定」の原則に照らせば難しいケースですが、仮にそこで対処が遅れて、当事者の生命等が危うくなる事態に至ってしまえば、介護職としては通報義務違反を指摘される可能性が高いといえます。
 ここでも重要になるのは、事前に事業所・施設内、さらには行政、地域包括支援センターなどとの連携を取るなかで、「虐待と思われる事実を発見した場合」をスタートとして、対処のマニュアルを作成し、連携組織間で合意を得ておくという手順です。例えば、利用者の身体に不自然なアザを発見したとします。当人に「このアザはどうしましたか?」と聞いたところ、「廊下でふらついて壁にぶつけた」という発言が返ってきたとします。この場合、まずはそのやり取りまでの事実関係だけを記録として残し、組織内のケース検討会を経て、地域包括支援センターなどに報告しておきます。最初から当人に「虐待ではないか」という形で問いただすと、相手がかたくなになり、その後のあらゆるサービスを拒否するなどという事態につながりかねません。機関連携によって多方面から慎重に見守りと調査を進めていき、事態の急変にすぐ対応できるようにしておくことが重要です。
なお、記録等の情報を組織外(他法人が運営する地域包括支援センターなど)で共有する際には、早期発見義務が優先されるとはいえ、一応サービス開始時に利用者側から承諾書を得ておくことが望ましいでしょう。

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