1.在宅介護の現場で生じやすいリスクとは?(3/3)
ポイント3
地域包括ケアを進めるうえでの
事故防止
現在、国の政策は、要介護者がどんなに要介護状態が重くなったとしても住み慣れた地域での生活が継続できるよう、在宅介護の限界点を高めようとしています。いわゆる地域包括ケアシステムの構築です。
これを実現するために、利用者がどんな環境であっても安全・安心を確保できる仕組みをつくらなければなりません。
そのテーマとして、在宅における事故防止こそ、地域包括ケアの中心に据えるべき課題の一つといえます。
では、介護事故防止の基本となるのは何か。現場に蓄積しつつあるリスクをきちんと推し量ることです。そのために、複数の支援職同士が「事故防止」という同じ方向でリスクを共有していくことです。
それぞれがかかわっていくなかで気付いた情報をバラバラに所有していては、生活の流れのなかでリスクの全体像が見えてこないからです。
「こんなリスクがある」という情報を共有していれば、「自分が訪問したときにはそれに注意しよう」ということになります。
先に述べたように、単独訪問などが多い在宅現場では、注意点を意識するか否かでリスクの内容や質も変わってきます。
通所介護と訪問介護では、本人の「している生活」像も違ったものになります。通所介護の場合には、その人の一面しか見えていないという点では、リスクを体系的にとらえることが難しいわけです。
情報の共有は、こうした落とし穴を防ぐことにもつながります。
以上、リスクの内容について述べてきましたが、次回は「どのような方法で、在宅現場のリスクを把握すればよいのか」という点を考えてみましょう。
多職種連携のなかで
「リスク共有」の仕組みを整える

在宅介護の現場で生じやすいリスクとは?