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5.それでも事故が起こった際の対処法(1/3)

公開日:2017年3月18日

ポイント1 
単独訪問での「冷静さ」を
保つために

 介護事故に対しては、リスクの軽減を地道に行なうことで、その「発生の確率」を減らすことができます。しかし、人間は精密機械ではないので、確率をゼロにすることはできません。
 そこで重要になるのは、仮に発生しても適切な対処によって、重大な結果(死亡や重篤な後遺症)に結び付けないことです。

 この場合の適切な対処とは、事前のマニュアルや研修に基づき、以下の流れを遂行することです。
 ①状態を冷静に観察しつつ「何が起こっているのか」を正しく把握する。②事業所への連絡や救急搬送の手配を行なう。③必要に応じて応急処置を行なう(②、③の手順が逆になることもあり)。そして、④医療機関等への正しい情報提供や同様の事故を防ぐための記録作成を行なう、となります。

 ただし、単独訪問などが多い在宅サービスでの事故においては、「ひとりであることの不安感や焦り」から、入り口となる①が大きな壁となります。特に経験年数の浅いスタッフにとっては、無理からぬことでしょう。

 これを防ぐには、事前の事故シミュレーションを繰り返し行ない、その場の対処を身体で覚えていくほかはありません。そうなれば、やはり日ごろの研修が重要となります。
 具体的には、①どのような事故が起こり得るのかを実例とともに示し、②その場合の対処の流れを繰り返し身体で覚える訓練を行ないます。そのうえで、③管理者などとの同行訪問を定期的に行ない、利用者のどんな部分を観察するかについて現場で指示を得るようにします。

単独訪問による「他者に頼れない」
状況をカバーするために

単独訪問によって「誰にも頼れない」
という状況
  • 緊張感による判断能力の低下
  • 対処を「分担できない」ことによる対処のスピード減
  • 死角が生じやすいことによる事態把握の遅れ
事前の「心構え」を整えることで
  • ①冷静な判断の力を維持する
  • ②スムーズな手順を身体で覚える
  • ③死角をできるだけ生まない立ち位置を意識する
そのための「事故対処」の研修を強化
在宅現場でどのような事故が起こり得るのかの実例を紹介し、その兆候なども詳細に示す(例:利用者の顔色やろれつ、言動など)
上記の兆候が見られた時の対処の流れを演習する。
兆候の発見→観察→事業所への連絡や救急搬送の手配→応急処置→各種機関への情報伝達など
上記の①・②を繰り返し演習し、習得したうえで、同行訪問を定期的に行ない、訪問後に「どのような点に注意するか」という振り返りを管理者・サービス提供責任者などと繰り返し行なう

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