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在宅介護のリスクマネジメント

第6回 物損事故や虐待の早期発見への対応

◇ポイント3 家族等による虐待の早期発見について

公開日:2017年3月18日

 家族などの介護負担が高まっている状況では、在宅現場の介護職としては、常に虐待リスクを頭に入れておくことが必要です。これは「家族を疑う」といった警戒の視点というより、家族側の介護疲れやストレスの蓄積に注意を払うことで、それらの軽減を多職種連携によって早期に図るという視点に立つものです。
 虐待の早期発見というと、入浴介助で清拭に際して「利用者の身体にアザを発見する」とか、利用者の心理的な落ち込み、また認知症の利用者のBPSD(周辺症状)の悪化が著しいといった状況が大きなきっかけになったりします。そうした兆候を、現場と事業所、そしてケアマネジャーなどの多職種と共有し、本人の安全確保を図ることは確かに重要です。しかし、そこで虐待をする家族などを「敵対者」とする発想が強くなると、その空気を察知した家族などによるサービス利用の拒否などが生じかねません。その後の世帯の孤立、そして事態のさらなる悪化につながるリスクが生じかねないわけです。
 虐待者の多くは、悪意による虐待というより、精神的に追い詰められて「心ならずも」という状況にあります。その意味では、家族のレスパイト(介護休養支援)を含めた世帯支援という視点をチームで常に共有することが欠かせません。
 まずサービスの開始時から、家族の状況(健康状況や介護にかかる負担など)をしっかりつかんでおき、家族側のちょっとした言動(「先が見えず、介護がつらい」など)をキャッチして、ケアマネジャーなどにレスパイト策の強化をうながします。こうしたフローを多職種連携で事前に整えておくことを、虐待防止の基本にすえることが求められます。

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