第1回 <背景・原因>なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?
Aさんは、職員のうながしにしぶしぶとではありますが「入浴」はしています。
それが「やっぱり入ってよかった」とはならず、「二度と行きたくない」となってしまう原因として、介助時に表には出ていないさまざまな不満が蓄積したことも考えられます。
どうしてこうなった?①
異なる入浴時間への違和感
デイサービスという「場所」への不満だけでなく、「入浴する時間」がいつもと異なるといった違和感もあったのではないか?
お風呂は寝る前に入りたいのに...

確認するためのポイント①
ケアマネジャーが作るケアプランの中には、ご利用者の1日の過ごし方を記したものがあります。
いつも入浴している時間や、その前後の生活の様子などがデイサービスでの過ごし方と大きくズレていると、本人には強いストレスとなりかねません。
どうしてこうなった?②
自宅とデイとの環境の違い
家で入浴している際の環境と、デイサービスでの入浴の環境に大きな差があり、それが本人の不満につながっているのではないか?
また、家族以外の人に入浴介助をされることへの不安感があるのではないか?
家ではシャワーと足浴

確認するためのポイント②
家での入浴は奥様が介助していたので、Aさんが入浴する手順や湯の温度、浴槽内での過ごし方などはよく把握されているはず。
そのあたりを奥様から聞き出すことで、少しでも「家での入浴」の様子に近づけるためのアイデアも浮かぶはずです。
また、他人や慣れていない(信頼関係がない)人が入浴介助をすることへの抵抗感について奥様から聞いておくことも必要です。
どうしてこうなった?③
職員のかかわり方への不満
「なじみのない場所には行きたくない」という発言から、そもそも「他人(しかも自分よりはるかに若い人)にお膳立てをされる」ことに拒絶感を覚えるのではないか?
若い職員に指図されたくない!

確認するためのポイント③
Aさんが過ごしてきた人生について、改めて本人や奥様の話に耳を傾けます。
例えば、苦労しながら家業をひとりで開いてきた人生があり、「ひとりでに物事がどんどん進んでしまう」という状況が受け入れられないといった価値観などが浮かんでくることもあります。