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第6回 <事例>介護職員と看護職員との連携不足によるトラブル

<事例>

 膀胱留置カテーテル(※1)を装着しているAさんは、3ヵ月に1回、ショートステイを利用しています。
 その日の朝5時、夜勤の介護職員が巡回した際に、元気がなく調子が悪そうにみえました。しかし、このくらいなら大丈夫だろうと感覚で判断し、看護職員に連携しなかったところ、尿路感染症(※2)で入院することになってしまいました。

※1膀胱留置カテーテル:
膀胱から直接尿を持続的に排出するため、膀胱から尿道に長期間入れておくカテーテル(管)。

※2尿路感染症:
病原菌が尿道口から入ることで、尿が通る経路に起こる炎症。

ご利用者の概要

 Aさん 男性 85歳 要介護3
 前立腺肥大(泌尿器系疾患)
 特別養護老人ホームに併設するショートステイを3ヵ月に1回の頻度で利用している。
 膀胱留置カテーテルを装着している。

事例の内容

 ある日の夜勤の出来事です。この日は膀胱留置カテーテルを装着しているAさんがショートステイを利用していました。Aさんは何度もこの施設を利用している方でした。

 夜勤の介護職員が朝の5時に巡回した際、Aさんの様子がいつもと違うような気がしました。元気がなく調子が悪そうにみえるのは、寝起きのせいとも思えます。Aさんのおでこを触れてみましたが、そんなに熱いとは思わず、バイタルサイン(※3)は測りませんでした。
 日勤の看護職員が4時間後に来るため、介護職員はそのまま様子を見ることにしました。早朝に看護職員にオンコール(※4)することへの遠慮もあり、これまでもこのようなケースで問題は起こっていなかったので、大丈夫だろうと思ってしまいました。

 日勤の看護職員が9時に出勤し、Aさんの状態を確認し、バイタルチェックを行なうと発熱していました。また昨晩から尿が出ていないこともわかりました。看護職員が応急手当を行ないましたが、全く尿が出る様子はなく、医師に連絡して病院に搬送となりました。その後Aさんは尿路感染症と診断されました。

 ショートステイ利用の際に、家族から以前Aさんが尿が出にくくなったことがあるという情報を得ていましたが、介護職員の間で共有されていませんでした。

※3バイタルサイン:
生命兆候のこと。「脈拍」「血圧」「呼吸」「体温」の4つを指標とし、数値を測定することでその日の健康状態を知ることができる。

※4オンコール:
看護師などが常駐していない介護施設などで、緊急を要する時にすぐに対応できるように自宅等で待機すること。

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