第2回 <背景・原因>なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?
このようなケースの場合、認知症のAさんがBさんの部屋に二度と入らないようにするため、Aさんの部屋を施錠する、あるいはBさんに自分の部屋の施錠をお願いするということを考えるかもしれません。
しかし、ご利用者の部屋を施設側の意向で施錠する(施錠を依頼する)ことは虐待ととらえられる可能性があり、また、災害時の速やかな避難誘導の観点からも問題があります。
その場しのぎの解決方法を考えるのではなく、トラブルの背景・原因を探ることから解決方法を考えてみましょう。
Aさんは認知症の進行により、ほかのご利用者に不安を与えてしまう行動が出てくることがあります。
Bさんは、ほかのご利用者とも時々トラブルを起こし、激しく口論することがあります。苦情を訴える行為の背景には在宅での生活を続けることを望んでいたのに施設入所になったことが影響しているかもしれません。
どうしてこうなった?①
Aさんの行動の背景・理由
Aさんの行動の変化の背景に、どのような理由があるのか。Aさんの言動を深く理解しているのか?
息子の面倒を見なければ...

確認するためのポイント①
改めて、Aさんの思いを丁寧に聞きとるとともに、Aさんの性格、過去の生活歴などを記録から再度確認してみましょう。
例えば、明るく世話好きで主婦として家事を行なうことが好きで上手だったと記入されていたとします。
本人の頭のなかでは、自宅から施設へと変わっても家事をするという生活を続けている、などが見えてきます。
どうしてこうなった?②
Bさんの不満・ストレス
在宅を望んでいたのにかなわず施設入所になったことが影響しているのではないか。
また持病があり、病気による不安や痛みも加わり大きなストレスを感じているのでは?
私の気持ちはわかってもらえない...

確認するためのポイント②
Bさんにとって施設での生活が満足を得られないのはなぜかを探るためには、まず本人の思いを聴き、会話のなかから施設での生活に望むこと、趣味や興味のあることを把握します。
ご家族からも自宅で楽しんでいた場面などの情報を得る必要があります。
どうしてこうなった?③
介護職員の表面的な対応
利用者間で起こったトラブルはなぜ起こったのか、今後の対応策の検討が必要。
しかし、まわりに迷惑がかかるのではないかということだけで、表面的に注意をする対応になってしまっていないか?
この場をまるく収めたい。

確認するためのポイント③
なぜトラブルが起こったかを探すことで解決の糸口が分かる可能性があります。
その日の体調を観察、記録の確認(例:トラブルが多い時間帯、日ごろの利用者間の人間関係)をします。
看護職やリハビリ職なども交えて、それぞれの持っている情報や知識を出しあって検討します。