第4回 <背景・原因>なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?
毎日楽しんでいたはずの活動だったのに、異なる意見の人がいてボタンの掛け違いのように亀裂が広がってしまいました。とりなす人もなくふたりの関係は修正不可能となってしまいました。
どうしてこうなった?①
職員の思い込み
おふたりとも、認知症もなく穏やかな性格で周囲と問題なく生活していた。
また入居時の家族からの情報からも他人と争う人ではないと言われ、職員が人間関係は心配ないと思い込んでいたのではないか。
ふたりとも穏やかな性格だから、
多少の言いあいなら
あとを引かないだろう・・・
確認するためのポイント①
例えば、Aさんは現役時代に大手企業で多くの部下をもってバリバリ働く企業戦士でした。今は温和なAさんも仕事の場面ではまた違った表情を見せていたかもしれません。
表面に見えていることだけで思い込みは厳禁です。常に本人の様子や周囲との関係性などに目を配ることが求められます。
例:
- 人あたりの良い人でも時には性格があわない人がいる
- 高齢になるにつれ社会とのかかわりが薄くなり、自分のことだけに関心が向いてしまう
どうしてこうなった?②
初期対応の遅れ
言い争いが起きた当初に大きなトラブルになると職員が感じず、それぞれに対し、話を聞くなどの介入する行動を取らなかったのではないか。
これくらいは、よくあることだから、
様子を見守ろう
確認するためのポイント②
小さなトラブルを放っておくと、そのトラブルは大きくなる可能性があります。それぞれの相手に対するちょっとした言動、かすかな表情の変化から、雰囲気の変化に気づいて早めに対処することが重要です。
また、原因は「コーラスの時間」のほかにあるかもしれません。ほかの場面での不満が、「コーラスの時間」に表面化した可能性もあります。
かかわっている職員がそれぞれの視点で気になることについて共有しましょう。
例:
- ほかの場面でAさんとBさんの関係で気になったことはないか
- Aさん、Bさんそれぞれが、ほかのストレス要因を抱えていないか
(施設や施設職員への不満、生活の変化への不安・喪失感、体調不良など)
どうしてこうなった?③
アクティビティへのかかわり方
参加者が自発的に始めた活動のため、職員は自主性にまかせて担当者もおいていなかった。
自主性を大事にしつつも、職員の適切な介入が必要だったのでは?
自発的な活動だからやる気がちがう、
発表会も楽しみだわ・・・
確認するためのポイント③
アクティビティとはご利用者の楽しみ・余暇活動というだけではなく、相互のより良い関係性を作ることも目的としています。
集団活動がうまくいっているかだけではなく、一人ひとりの様子を観察し必要に応じて介入することを、職員は念頭に置いて対応しましょう。
例:
- 活動への参加状況、意欲、役割など
- 活動による人間関係や行動の変化
- 活動の内容が参加者に適したものになっているか
(能力、個性、経験などが発揮できているか)