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第6回 <背景・原因>なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?

 膀胱留置カテーテルを装着しているAさんがショートステイを利用した際に、介護職員と看護職員の連携がうまくとれていないことから尿路感染症の兆候を見逃してしまいました。
 介護職員は巡回時、Aさんの様子がおかしいと気づいていましたが、バイタルサインを測定することなく看護職員の出勤を待っていたことや、Aさんが以前、自宅で尿が出にくくなっていた状況について介護職員の間で情報共有がされていなかったことが原因として考えられます。

どうしてこうなった?① 
利用者の状態変化に伴う情報収集不足

 介護職員はAさんのいつもと違う様子に気づき、おでこに触れるなど体温の確認はしたが、体温計を用いてバイタルチェックをしていなかった。
 また尿量の確認もしていなかったため、尿が出ていないことに気づかなかった。

確認するためのポイント①

 Aさんがいつもと違うと感じたとき、おでこに触れての判断だけでは、体調の変化を具体的に把握できません。きちんと体温計や血圧計などを使用してバイタルチェックを行なうことが必要になります。
 また介護職員と看護職員との間で膀胱留置カテーテル利用者のリスクの共有や、尿量のチェックの継続的観察が必要となります。

どうしてこうなった?② 
介護職員の今すぐ対応しなくても大丈夫だろうとの判断

 早朝の時間帯の出来事で、あと4時間後に看護職員が出勤してくる状況であり、早朝への看護職員へのオンコールへの遠慮やこれまでも似たようなケースで問題が起こっていなかったので、今すぐ連絡しなくても大丈夫だと判断した。

確認するためのポイント②

 早朝であり、これくらいなら緊急で連絡しなくても大丈夫だろうとの判断とともに、看護職員への遠慮があったかもしれません。しかし、重要なのは医学的根拠にもとづいた判断です。
 今回の事故の原因として、利用者の医学的管理に関するリスクマネジメントについての介護職員と看護職員の連携不足が考えられます。

どうしてこうなった?③ 
申し送り情報の共有のもれ

 ショートステイ利用の際に聞き取った自宅での状況(尿が出にくくなったことがある)について、介護職員の間で情報が共有されていなかった。
 また、介護職員と看護職員の間においても、Aさんの医療面のリスクについて情報共有が不十分だった。

確認するためのポイント③

 一般的なショートステイ利用者は数ヵ月に1回の頻度での利用であり、常に施設で暮らしているわけではありません。介護施設に入所している利用者とは違い、ショートステイの利用者については日常的な情報が不足しているので、自宅の様子や医療・介護に関する情報を収集して、対応することが重要です。
 生活相談員がショートステイ開始前に聞き取った自宅での状況や家族の要望について多職種間(ケアマネジャー・看護職員・介護職員など)、介護職員間の情報の共有が大切となります。

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