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1.ハラスメント対策 ①ハラスメントの実態と発生要因

ハラスメントの実態

 あらゆる業界において、職場におけるハラスメント対策は大きな課題となっています。
 そのなかでも、介護現場特有のハラスメントとして社会問題化しているのが、「利用者や家族等から介護従事者に向けられるハラスメント」です。

利用者・家族等からの
ハラスメントには
どのようなケースがあるか

身体的暴力

 身体的な力を使って危害を及ぼす行為

具体例
  • コップを投げつける
  • 蹴られる
  • 唾を吐く

など

精神的暴力

 個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為

具体例
  • 大声を発する
  • 怒鳴る
  • 特定の職員にいやがらせをする
  • 「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する

など

セクシャルハラスメント

 意に沿わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的な嫌がらせ行為

具体例
  • 必要もなく手や腕を触る
  • 抱きしめる
  • 入浴介助中、あからさまに性的な話をする

など

出典:「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル
令和4(2022)年3月改訂 株式会社三菱総合研究所(令和3年度厚生労働省老人保健健康増進等事業)

 深刻なのは、こうした行為が発生しても、その実態がなかなか表に出にくいことです。
 介護サービス現場では、利用者や家族は「支援を要する守られるべき立場」という認識が根強くあります。それゆえに、従事者が被害を受けても「少々のことなら」と我慢してしまい、仮に上司や管理者に相談しても、やはり「我慢すべき」と諭されるだけというケースも少なくありません。その結果、水面下で事態がエスカレートしてしまいがちです。
 介護現場でのハラスメントは、他者の目が入りにくい訪問系サービスに限らず、施設・居住系サービスも高い割合を示しています。サービスの種類に関係なく、対策が必要とされています。

過去1年間でハラスメントを
受けたことのある職員の割合
(サービス別の上位5位までを掲載)

「過去1年間でハラスメントを受けたことのある職員の割合(サービス別の上位5位までを掲載)」を説明した図の画像

※「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」p62
「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」令和4(2022)年3月改訂 株式会社三菱総合研究所(令和3年度厚生労働省老人保健健康増進等事業)をもとに介護の広場が作成

※BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理症状)
認知症の症状には、「中核症状」と「行動・心理症状」(「周辺症状」とも言われる)がある。
「中核症状」には記憶障害・見当識障害・理解の低下などがあり、そこから二次的に起こる「行動・心理症状」は、徘徊・不潔行為・異食・人格変化・妄想などの形で現れる。

ハラスメントの発生要因

 「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」をもとに、利用者・家族によるハラスメント(いわゆるカスタマー・ハラスメント)の発生要因を整理すると以下の3点になります。

①利用者・家族等の性格、または生活歴

②利用者・家族等の認知症等の病気、または障害

③利用者・家族等のサービスへの理解不足・過剰な期待

利用者・家族等による
ハラスメントはなぜ発生するのか?

「利用者・家族等によるハラスメントはなぜ発生するのか?」を説明した図の画像

発生要因から考える
ハラスメント防止のポイント

  • 発生要因を把握することは、ハラスメントの発生・再発の防止には欠かせません。
  • ハラスメントの多くは、最初は小さな兆候から始まり、それを放置することで本格的なハラスメントへとエスカレートしていく傾向があります。
  • 従事者はどんな小さなことでも管理者に相談しましょう。
  • 管理者側は従事者からの相談を「その程度のこと」とスルーしたり、「従事者側に問題があるのでは」という先入観を持たないようにしましょう。
  • なお、2026年10月からカスタマーハラスメント防止に関する法律が施行され、事業者の対応責務が明確化されます。少なくとも、現場からの相談体制の強化は早期に図ることが求められます。

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