6.人材不足対策 ①人材不足で高まるリスク
人材不足の深刻化により、介護現場では適正なサービス運営を妨げるさまざまなリスクが高まります。
制度上のリスク
必要な人材確保が難しくなれば、当然ながら介護保険法令上の人員基準を満たせない可能性も高まり、改善勧告の対象となります。
それでも基準を満たせない場合、事業の一部・全部の停止や最悪の場合、指定取り消し処分となりかねません。
「見守り力」の低下リスク
人材不足によって「見守り」の目が少なくなったり、特定の職員に業務が集中して、その職員の「見守り」にかかる注意力が散漫になる可能性も高まります。
こうした現場の「見守り力」の低下は、特に利用者の状態が重くなると、さまざまな事故リスクを高めます。
現場の人材不足は
どのようなリスクを生むか?
近年は、テクノロジー等の導入・活用を条件とした人員基準の柔軟化が図られていますが、そのテクノロジーを職員が適切に活用できているのか、職員の負担は本当に軽減されているのかという検証を継続的に行なうことが欠かせません。
「リスク軽減への対応力」と
「見守り力」の低下によるリスクの増大
- 認知症の利用者が不穏な状態にある場合、ちょっと目を離した間に(自力歩行が難しいのに)立ち上がって転倒したり、異食行為などにおよぶことがあります。嚥下機能が衰えている利用者であれば、食事中に目を離したことで誤嚥事故につながることもあります。
- このように現場の「見守り力」が利用者の状態悪化に追いついていないことによって、介護事故が生じる可能性が高まります。
- 認知症の利用者のケースではBPSD(行動・心理症状(※))の緩和を図ることで、リスクの軽減を図ることが可能ですが、人材が不足することで集中的な取組み(ケア現場の環境改善など)を行なう余裕がなければ、やはりリスクの軽減を図ることは難しくなります。
- 現場の人材不足は、「リスク軽減への対応力」+「その時々の見守り力」をダブルで阻害するという点で、リスクの増大を加速させる可能性があります。
※BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理症状)
認知症の症状には、「中核症状」と「行動・心理症状」(「周辺症状」とも言われる)がある。
「中核症状」には記憶障害・見当識障害・理解の低下などがあり、そこから二次的に起こる「行動・心理症状」は、徘徊・不潔行為・異食・人格変化・妄想などの形で現れる。