2.在宅におけるリスクをどう把握するか?(2/3)
ポイント2
水面下のリスクを「見える化」するには?
見えにくいリスクを把握するには、ポイントが2つあります。
1つ目は、目の前の事象から「水面下で起こっていることを洞察する」という訓練。2つ目は、利用者にかかわる多様な職種の情報を、できるだけリアルタイムに近い状態で共有することです。
まず、1つ目のポイントについて考えてみましょう。
例えば訪問介護でヘルパーが利用者宅に入ったとき、「何かいつもと違う」と感じることがあります。利用者の表情や言動、居室内の臭い、利用者に触れたときの体温など。
見るだけでなく、五感で察知することが必要です。ここで感じる異変は、水面下の生活で何かが起こっていることを示唆している可能性があるからです。
いつもに比べて利用者の表情や言動に力がない場合、「体調が悪いのではないか」「昨晩よく眠れていないのではないか」ということが推察できます。本人から「具合が悪い」などの訴えがなかったとしても、さまざまな可能性を頭に入れつつ事業所に報告することで、事態が悪化する前の対処が可能となります。
これは実際にあったケースですが、本人の口数が少なく、言葉を発したときにわずかですがろれつが回らないということがありました。そこですぐに担当医などと連携をとったところ、初期の脳梗塞を発症していることが判明しました。
幸い気付くのが早かったので大事には至らず、すぐに在宅に戻ることが可能になりました。
この最初の察知ができたことで、本人の重度化を防ぎ、サービス提供にかかる支障も最小限に抑えることができたわけです。
水面下のリスクを
「洞察」することが大切

在宅におけるリスクをどう把握するか?