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ご利用者様にとって、陽の当たる
「もうひとつの家」でありたい。

デイSUN村
【管理者/介護福祉士】田中 晴美(たなか はるみ)さん
【生活相談員】竹内 裕美(たけうち ひろみ)さん

デイSUN村
【管理者/介護福祉士】
田中 晴美(たなか はるみ)さん
【生活相談員】
竹内 裕美(たけうち ひろみ)さん

介護が必要で家などに暮らす高齢者は、人間関係が限定されがちです。高齢者を対象にしたデイサービスは、同世代の人々と関わる機会になり、入浴や食事の支援、さらには日々の暮らしで必要な機能訓練を受けられるありがたい存在です。家族にとっては、安心して介護から離れられる貴重な時間になります。
鎌倉市七里ガ浜にある小規模デイサービス「デイSUN村(さんそん)」はスタッフの温かい雰囲気と、一人ひとりのニーズに合わせてじっくりと向き合う姿勢が、地域に共感を呼んでいます。

「SUN村」というのは、明るいお名前ですね。
名前にこめた意味をお聞かせください。

「デイSUN村」という事業所名ですが、法人が株式会社villageで"小さな地域社会"を意味しています。townでもなくcityでもない、village(村)です。
その中にある、陽(SUN)の当たる家...ご利用者様にとって「もうひとつの家」でありたいという願いを込めています。

私たちは、長年の経験で培ってきたスキルとノウハウを武器に、よりご利用者様のニーズをとらえたサービスを提供していきたいと考え、2019年にスタートしました。小規模で運営していますので、可能な限り柔軟な受け入れ態勢を工夫して、「こんなデイサービスがあったらいいな」の実現をめざしています。

コロナの状況下での課題、工夫していることがあれば教えてください。

コロナウイルスの収束が見えず、介護施設にとって、とても難しい時期が続いています。
クラスターが発生しやすい場所といえるデイサービスで、「感染を広げないこと」「個々の感染予防」は最重要事項と捉えていますから緊張の日々です。

しかし一方で、介護職がご利用者様と「間近で会話する(密接)」ことは、介助における仕事の基本です。つまり、現在介護の現場では、感染症予防のためにこれまで求められてきた機能やかかわり方を「避けろ」と、真逆のことを言われているわけで苦悩しています。

高齢で要介護状態にあるご利用者様は、日ごろから活動や運動が少ないところに、さらに感染症対策として動線等様々な制限を受けると、脳や体を使う機会も減り、機能低下が進んでしまう心配があります。

私たちは、利用定員の縮小、送迎車内や事業所内の換気や消毒、スタッフの健康管理等の、基本的な感染予防対策を徹底していますが、感染防止対策が過剰にならないようにバランスを考えながら取り組んでいます。

レクで工夫していることはありますか。

身体機能や認知機能は人それぞれです。「今日は皆さんで●●をしましょう」とはせずに、お一人おひとりのニーズに対応したレクを提供できるように工夫しています。
具体的には、定番ですが脳トレや手芸、ゲームをしたり、ご利用者様の趣味嗜好によって変えています。レクだけに集中するのではなく雑談を交えながらご利用者様との距離を縮めて一緒に楽しんでいます。
また、レクリエーションはリハビリの要素も含みます。目的があって行ないますので、ご利用者様のモチベーションが上がるように、"褒めて盛り上げる事"を意識しています。

塗り絵は前々から「MY介護の広場」の塗り絵を活用しています。
昭和のテーマや田舎の風景が人気ですね。塗り絵の登場人物に名前を付けて物語を作ったり、驚くような自由な発想で楽しまれています。

介護職についたきっかけと、心に残る出来事をお聞かせください。

(竹内さん)
家族の身に降りかかって初めて介護という仕事がどんなものなのかが分かって、興味を持ちました。誰かの役に立ち、感謝される...。とてもシンプルなので、そのぶんダイレクトに充実感や働きがいが得られる仕事だと思います。

ケアマネジャーをしていた時の話ですが、いつお亡くなりになってもおかしくない終末期のご利用者様を担当しました。「お風呂に入りたい」というのがその方の最期の願いでした。主治医の先生へ相談し、なんとか手配を整えました。その方は、入浴中にいつ何が起きてもおかしくない状況下で、目尻に深いしわを作りながらうなずいてくれました。同居されていた息子さんも「よかったねぇ」と涙を流されていました。そして、そのご利用者様はその晩に亡くなられました。
今でも、そのご利用者様のその時の表情が思い出されることがあります。
自分らしく最期の瞬間まで過ごせることが在宅介護の素晴らしさだと実感しました。

(田中さん)
祖母が一番の仲良しだったため、お年寄りが好きだったのがきっかけです。
ご利用者様に笑っていただくことももちろん大切ですが、自分も笑えることが大切だと思います。

心に残るエピソードも様々ありますが、一番忘れられないのは、介護職について初めて食事介助をしたときの事です。"介護"という仕事を漠然としか知らずにいたので、初めて人に食事を提供する事に対して怖さもあり切なさもあり、とても複雑な心境でした。たどたどしい私の介助でも完食してくれた事に嬉しさもあり、今でも印象に残っています。

ストレスですか?時にはありますが、散歩とか何も考えず「無」になれることをすれば、だいたい解消されますね。

(竹内さん)
まだ発展途上の施設ですが、ご利用者様のニーズにアンテナを張りながら、思いを汲んだサービスを提供していきたいと考えています。

<今月の施設>
デイSUN村(神奈川県鎌倉市)

デイSUN村は、地域密着型デイサービスとして2019年9月に、鎌倉市の静かな住宅地にオープンしました。
民家を改修し、広い庭をもつ、昭和の香りが漂う落ち着いた古民家型の施設です。
住み慣れた地域で支え合い、共に生きる『もうひとつの家』を提供したいという理念のもと、初めてデイサービスをご利用になる方にも安心できる施設を目指しています。
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2周年特別編集号 「存在そのものが価値になるのが介護職だと思います。」

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