1.認知症ケア ③原因疾患と中核症状・BPSD(行動・心理症状)
認知症の原因疾患によって
症状や進行が異なる
認知症とは正確には「認知症候群」であり、何らかの疾患によって脳の働きに障害が生じた状態をさします。
重要なのは、それぞれの原因疾患によって症状やその進行が異なってくることです。そのため、その人の認知症がどんな病気から来ているのかを理解しないと、適切なケアが難しくなります。
認知症のタイプ・原因となる
疾患ごとの特徴
アルツハイマー型認知症
(全体の6割程度)
特徴
初期段階から記憶障害が見られ、ゆるやかに進行しながら見当識障害、視空間認識障害、失語、失行などが見られるようになる。重度化すると運動機能の障害も見られるようになる。
BPSDで多いもの
徘徊・介護への抵抗・無気力・帰宅願望・昼夜逆転など
脳血管性認知症
(全体の2割程度)
特徴
記憶障害よりも判断力の低下が目立つ。階段を降りるような具合に進行し、意欲低下が進むほか夜間せん妄なども見られる。
BPSDで多いもの
無気力・介護への抵抗・暴言・昼夜逆転・妄想など
レビー小体型認知症
(全体の1割程度)
特徴
初期段階から手のふるえや歩行障害などパーキンソン病に似た症状が見られる。ほかの認知症と比べ、具体的な幻視・幻聴が認められる。
BPSDで多いもの
無気力・妄想・幻視、幻聴による言動・抑うつ・介護への抵抗など
前頭側頭型認知症(ピック症など)
(全体の0.1割程度)
特徴
社交性が低下し、万引きなどの反社会的な行動や性格の変化などが見られる。毎日同じものを着る、同じものを食べ続けるなど常同的行為が認められる。
BPSDで多いもの
徘徊・介護への抵抗・抑うつ・無気力・妄想など
参考:公益社団法人老人福祉施設協議会資料
中核症状とBPSDを分けて考える
認知症の人は、周囲の人が理解しにくいような行動をとり、そこからトラブルや事故につながることがあります。
そうした行動は認知症をもたらす疾患によるものですが、病気が直接もたらしているもの(中核症状)と、それに対する一種の人間的な反応として表に出てくるもの(BPSD)があります。
認知症ケアを進めるうえでは、この中核症状とBPSDをしっかり分けて考える必要があります。
中核症状とBPSDの関係
BPSDを抑えることでリスクを軽減
- 例えば、アルツハイマー病による記憶・見当識の障害によって周囲とのコミュニケーションが取りにくくなり、「ここは自分のいる場所ではない」という心理から徘徊に至ったり、暴言や暴力などにつながることがあります。
- 中核症状の進行を防ぐことはできませんが、周囲の気遣いや環境を整えることで、ある程度BPSDを抑えることはできます。
- 事故やトラブルは直接的にはBPSDからもたらされることを考えると、そこで生じている本人なりの気持ちなどを理解し、やわらげるケアを行なうことが、リスクマネジメントの基本となります。
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