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1.認知症ケア ④BPSD(行動・心理症状)の悪化による事故と原因

BPSDの悪化によって起こる事故

 認知症の人の場合、中核症状の進行によって「現実の世界との折り合い」をつけることが難しくなります。そのために不安や混乱に伴うストレスが蓄積し、さまざまなBPSDが起こります。
 BPSDの悪化は危険な行動に結びつきやすくなりますが、逆に言えば、BPSDの悪化を防ぐことで事故リスクを抑えることができます。

認知症の心理状況が
「事故」に発展するケース

「認知症の心理状況が「事故」に発展するケース」を説明した図の画像

BPSDの悪化によって起こる事故の例

  • 見当識の衰えによって「自分はなぜここに居るのだろうか」という不安が募るとパニックになりやすく、その場から離れようとします。これが周囲から見たときに「徘徊」と映ります。その結果、電車や車にはねられるという事故につながります。
  • 人は不安や混乱が高まると、とっさに行動を起こしたり、他者の介在を拒否したりします。そのために転倒したり、他者への暴言・暴力などによるトラブルへとつながります。
  • 「これは食べられるか否か」という判断力の衰えや、周囲への不信から「食事を食べさせてもらえないのではないか」といった心理が相まって、本来食べ物でないものを口にしてしまう(異食)事故につながります。

BPSDの悪化の原因から
対応を考える

 BPSD悪化の原因として「中核症状の進行」「内部疾患の進行」「周囲の環境変化」が考えられます。
 それぞれの観点で原因を検証し、BPSD緩和のための対策を検討します。

BPSDが悪化している状況

  • 言動に「落ち着き」がなくなっている:
    転倒・徘徊など
  • 他者に対して攻撃的になっている:
    周囲とのトラブルなど
  • 不可解な「訴え」が多くなっている:
    介護負担の増加

想定されること

想定されること

1.中核症状の進行

 見当識の衰えなどがさらに進むことで、本人が混乱しやすい状況が高まっている

検証

 認知症の専門医による再診断

 中核症状の進行に伴うリスク(誤嚥・転倒など)についても再確認

想定されること

2.内部疾患の進行

 疾患による痛みや不快感などが、認知症によるストレスに拍車をかけている

検証

 認知症専門医と各診療科の医師との間で連携を図ってもらい、診察を進める流れをつくる

 本人の受診拒否などの緩和を図る

想定されること

3.周囲の環境変化

 介護者の状況や居住環境などに、ストレスをかけやすい要因が生まれている

検証

 職員・家族の「接し方」、環境が悪化していないか否かなど、多角的にチェック

 家族レスパイト、職員の異動なども考慮

内部疾患がBPSDに与える影響

  • 内部疾患の悪化(痛みや不快感)は人の心理状態に影響を与えます。認知症によって見当識が衰えている場合、「自分の身体の状態」を認識することが難しく、漠然とした不快感がさらにストレスを高めていきます。
  • 例えば、膀胱炎などで常に尿意を感じる状態だと、四六時中落ち着きがなくなったりします。その結果、立位保持の難しい人が急に立ち上がって転倒するケースも起こりえます。
  • 認知症以外のさまざまな疾患について、きちんとした診断・治療を行なうことが、BPSDの改善に結びつくことになります。
  • 本人が受診をしたがらない場合、潜在的な疾患を見逃すリスクがあります。認知症対応について理解があり、同時に訪問診療などに力を入れている医師との連携がカギとなります。

服薬がBPSDに与える影響

  • 認知症の臨床現場では、過剰な服薬がBPSDを悪化させるという報告があります。必要でない薬の過剰な服用は、認知症ケアではデメリットにつながることがあります。
  • 一方、必要な薬の服用まで安易に止めてしまうことは危険であり、認知症対応に理解のある医師に処方薬の一覧などを見てもらいつつ、適切な服薬管理を行なうことが必要です。

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