心筋梗塞の症状
虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞の症状は、一般的に、胸が締め付けられるとか、鉄板を押し当てられるような痛みと表現されます。しかし、放散痛といって、背中や顎、左腕、胃のあたりが痛むこともあります。歯が痛いという患者もいます。血管が細くなって心臓の筋肉に対して血液の供給が不足して起こる狭心症では、安静にすることや、ニトログリセリンの錠剤やスプレーを舌の下にいれることにより数分で痛みが消失しますが、それが消失せず20分以上持続するようでしたら血管がすでに詰まって心筋梗塞を起こしている疑いが強くなります。
例えば、冠動脈を高速道路にあてはめて考えると、人間の心臓は予備的な能力があるため、高速道路の4車線のうち2車線が工事をしていても流れに大きな問題は起こりません。
しかし、冠動脈の内側である
心筋梗塞は胸痛や放散痛のほかにも症状を起こすこともあります。
高齢者では典型的な症状がでにくく、だるい、気持ち悪いなどの症状が心筋梗塞の症状であることもよくあり、認知症がある人などでは家族が何となく元気がないといって病院につれてきたら心筋梗塞であったということもあります。糖尿病の患者では神経の障がいのために典型的な痛みが生じない場合があり、高血圧の患者でもそういった場合があることが報告されています。
また、心筋梗塞を起こした患者の約20~30%の患者は全く痛みを感じず、その後に受けた健康診断や人間ドックで実は以前に心筋梗塞を起こしていたと判明する患者もいます。その原因は、はっきりとは解明されていませんが、痛みに対する敏感さが人によってかなり異なることが原因ではないかと考えられます。
心筋梗塞が起こるしくみ

動脈硬化のために冠動脈の
被膜が破れて粥腫が崩れ、脂肪のかたまりが出てくる
修復するため血小板が集まり血栓を作る
血栓が大きくなり、さらに動脈壁の一部がはがれ落ちる
血栓が血管を塞ぎ、血流が流れなくなってしまう
この状態が30分以上続くと、心筋の細胞が酸素・栄養不足で壊死する
介護予防と健康維持
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<明治安田健康開発財団提供>