心筋梗塞の前兆
心筋梗塞は、全く胸痛などの前兆なしに起こる人が約1/3で、梗塞前狭心症といって数日前、あるいは数時間前から胸痛を繰り返したのちに冠動脈が完全に詰まって心筋梗塞を起こす人が約2/3といわれています。
前兆は、いわゆる不安定狭心症といって、ここ最近新たに起こってきた胸痛などの症状、あるいは例えば駅の階段を昇る時のみに胸痛が起こっていたのにもっと軽い動作でも胸痛が起こってきたり、安静にしている状態でも胸痛が起こってきたりするようになった状態です。冠動脈が細くなっているのみで詰まってはいない狭心症では、安静にすることや、ニトログリセリンの錠剤を舌の下にいれたり、ニトログリセリンのスプレーを舌の下にふいたりすることにより数分で痛みが消失し、長くても20分を超えることはありません。それ以上継続するようなら冠動脈が完全に詰まっている心筋梗塞を起こしている可能性が強くなります。
胸痛発作が1日に何度も起きたり、持続時間が長くなったりするような場合は心筋梗塞を起こす前兆であり、速やかに病院を受診する必要があります。また、前兆として、背中や顎、左腕、胃のあたりが痛むこともあります。1日に何度も繰り返すようでしたら、いずれにしても早めの病院への受診が重要です。
一方、前兆があった後に心筋梗塞を起こした人の方が、前兆なしに起こした人よりもその後の心臓の機能の回復が早く合併症も少ないことが知られています。これは、胸痛発作が何度もあると心臓の筋肉が血液の足りない状態になれてきたり、側副血行路といってほかの冠動脈から詰まりかけている冠動脈に脇道がのびてきたりすることが理由といわれています。
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<明治安田健康開発財団提供>