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脳出血のリハビリテーション

脳出血のリハビリテーション

リハビリの目的

 脳の血管が破れて出血する「脳出血」と、脳の血管が詰まることで起きる「脳梗塞」は、全く違う現象によって発生する脳血管疾患です。しかし、脳出血と脳梗塞で現れる症状や後遺症には、大きな違いはありません。それは、脳出血も脳梗塞も、脳の細胞が壊死してしまうからです。

 脳出血も、脳梗塞も、現れる症状は出血や梗塞がどの部位に起きたかによって異なります。後遺症が残ることが多く、身体の機能や、正常な生活を営むための能力を取り戻すためには、リハビリテーションが何よりも重要です。

 リハビリテーションの目的は、「脳や身体の機能を回復する」「残った機能を開発・強化する」こと。例えば右手に麻痺が残ったとして、運動や訓練によりその機能を回復することをめざします。もし、発症前と同じ状態に戻らなかった場合は、無事な左手の機能を強化して、よりよい生活が送れるようにします。

 脳細胞の損傷は残念ながら治りませんが、脳内の壊れた回路を迂回して、別ルートで新たに回路をつなげて命令を伝えることはできる可能性があります。サッカーで言うと、パスするルートを変えてゴールをめざすようなもので、それを脳は新たに覚えたり学習したりする可能性を秘めています。そのため、リハビリは継続して長く行ない、あきらめずに取り組むことが大切です。

リハビリのSTEP

 一般に脳出血のリハビリテーションは「急性期」「回復期」「維持期」に分けられます。

 リハビリを担当するのは、起き上がる、歩くなどの基本動作の能力を向上させる運動や訓練を行なう「理学療法士」、食事をしたり、着替えをしたり、トイレに行ったりするようなく生活動作を身につけたり、能力向上させる訓練を担当する「作業療法士」、構音障がいや失語症などが残った方に、話す、書く、読むなどの訓練を行なう「言語聴覚士」などで、それぞれ医師と連携して行ないます。

急性期リハビリテーション(発症直後から数週間程度)

 脳出血を発症し搬送された病院で、発症直後の治療と並行して行なわれます。脳の機能の回復や「代償」(新たな代わりとなる機能が働きだす)を獲得するためには、脳出血を発症してからできるだけ早期にリハビリを開始することが必要です。

 例えば、麻痺した右手が動かなくても、理学療法士などに右手を動かしてもらうことで、機能を回復したり、新たに神経が繋がって症状が改善したりすることがあります。その神経の回復や機能再編である「神経可塑性」が生じやすいのは発症後3ヵ月と言われます。従って、一刻も早いリハビリの開始が大切なのです。

 また、病状が安定するまでベッドから起き上がれないことがありますが、そのままでは筋力が低下したり、関節が固まったり、骨がもろくなったりしてしまいます。また精神的にも落ち込んだりして、気力が失われ、うつ状態や認知症につながることがあります。そこで、ベッドの上で、姿勢を整えたり、手足を動かしたり、筋力をつけたりする訓練をできるだけ早期にスタートさせます。

回復期リハビリテーション(数週間から数ヵ月程度)

 発症直後から数週間程度の急性期リハビリを終え、ある程度身体を動かせるようになると、回復期リハビリに移行します。

 多くの場合、急性期リハビリを行なった病院(病棟)を退院し、回復期リハビリテーション専門病院や病棟に転院します。

 これは、脳出血の場合、発症または手術後2ヵ月以内でないと、回復期リハビリテーション病院(病棟)に入院できないという制度上の決まりがあるからです。また、同病院に実際に入院できる期間も150日(高次脳機能障がいを伴った重症脳出血の場合は180日)と決められています。

 この期間が決められていることからも、できるだけ早期にリハビリを開始することが必要なのです。

 回復期リハビリの目的は、機能が低下している部分の回復に主眼が置かれます。運動機能の回復では、後遺症の程度にもよりますが、ベッドから起き上がることから始め、座った姿勢を保てるようになったら、車いすの訓練に移ります。その後、立つ練習も始め、 立位を保持できたら歩行練習に移ります。また、作業療法として、箸の練習などを行ない食事が摂れるような訓練や、着替えやトイレ、入浴などの応用動作ができるよう、実際の作業を組み入れます。

 構音障がいや、嚥下障がいが起きた方には、それぞれのメニューで機能回復のためのリハビリを行ないます。

維持期(生活期)リハビリテーション(回復期以降)

 自宅などに戻って、回復期のリハビリテーションや治療により取り戻した身体機能の維持やさらなる回復をはかり、日常生活の自立と社会復帰をめざしたリハビリテーションが中心になります。

 回復期で取り戻した機能を維持・拡大させることから「維持期リハビリ」と呼ばれたり、日常生活を送りながら、社会復帰をめざすので「生活期リハビリ」とも呼ばれたりします。

 入院していた時期と違い、どちらかと言えば受動的なリハビリから、生活のなかで「主体的」にリハビリを行なう必要があります。

 この維持期(生活期)リハビリテーションには終わりはありません。日常生活を送るなかでの動作を通じて「障がいが残る前の生活をできるだけ取り戻す」ためのリハビリが求められます。できるだけ積極的に動くことを自然に取り入れることが機能の維持・拡大につながり、さらに「生活の質(=Quality Of Life)」の改善・向上にもつながっていきます。

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