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認知症ケアのリスクマネジメント

第5回 BPSD(周辺症状)悪化を「事故」に結びつけないために

◇ポイント1 「徘徊」による事故を防ぐには

公開日:2017年3月18日

 認知症によるBPSD(周辺症状*注)の悪化をどんなに防ごうとしても、周囲の環境や言動、内部疾患の進行などの複雑な要因を完全に抑えきることは困難です。そこで、本人のさまざまな行動を予測したうえで、「それをいかに事故に結びつけないか」という視点をもつことも必要です。
 認知症の人の場合、大きな事故に結びつきやすい行動の一つに「徘徊」があります。2014年の警察庁の発表では、認知症の人の行方不明が年間9607人にのぼり、死亡が確認された人も年間359人、行方不明のままの人も208人もいます(2012年度)。
 もっとも、周囲には「徘徊」と映る行動も本人にとっては「理由のある外出」であるケースが大半です。ですから、「外出」の予兆を見極めたうえで臨機応変に付き添い、安全に誘導するためのノウハウが求められます。
 (夜間に人手がない場合は仕方ないとしても)安易に施錠に頼ったり、無理に「外出」を阻止するなどの方法は、本人の反発や混乱を強めることがあります。その結果、いきなり外に飛び出したり、ドアに体当たりするなどの危険が高まるので注意が必要です。
 まず、予兆としては、何となくそわそわする、玄関先をうろうろするなどの行動が見られます。そうした状況に敏感に反応しつつ、その前後の行動なども記録に残しておき、「徘徊」が生じるパターンを把握しておくことが大切です。
 徘徊防止のための玄関センサーなどを設ける方法もありますが、頼りすぎると誤作動の際に「徘徊」を見逃す危険が高まります。また、センサーの音自体が本人を不穏な気分にさせることもあります。

*注 BPSD(周辺症状)とは
(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略)
認知症の症状には、「中核症状」と「周辺症状」がある。「中核症状」には記憶障害・見当識障害・理解の低下などがあり、そこから二次的に起こる「周辺症状」は、徘徊・不潔行為・異食・人格変化・妄想などの形で現れる。

 第5回 BPSD(周辺症状)悪化を「事故」に結びつけないために

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