人材不足が慢性化する時代のリスクマネジメント
第3回 人材の「すそ野」をいかに広げるか?
<ポイント2>介護助手導入を見すえた、ち密な業務分析を
ただし、中高年層の場合、体力的な課題等から「フルタイムで働きたくない」というニーズも見られます。また、離職から年月がたっている場合、当時に比べて介護現場の仕組みが変わったり、利用者の重度化も見られる点が入職の不安につながることもあります。
そうした中高年層の「入口」となる職務として、国が推し進めようとしているのが介護助手の導入です。これは、介護職の業務を切り分け細分化し、そのうちの専門的知識・技術がほとんどない人でも行なえる業務(居室の清掃、片付け、備品の準備等)を介護助手として担ってもらうという仕組みです。
ポイントは、業務内容を固定化するのではなく、あくまで「入口」として担ってもらう点です。例えば、慣れてきたら利用者の話し相手や趣味活動のお手伝いなど、一定の専門性が求められる業務へとステップアップする機会を設けるという具合です。仮に経験者ならば、少しずつ勘を取り戻してキャリアを重ねるという道筋を設けることができます。
また、未経験者について、国は「入門的研修(21時間の研修)」や訪問介護の生活援助を担う人材のための「生活援助従事者研修(59時間の研修)」の実施を進めています。これにより、未経験者であっても上記の介護助手という「入口」に立てる環境を整え、経験を積んだうえで上位研修の受講をめざしてもらおうというわけです。 ただし、介護助手とはいえ、現場の状況によっては業務の切り分けは簡単ではありません。例えば、低栄養や嚥下困難リスクの高い利用者が多い場合、下膳の際の観察やそこからチームへの情報提供など高度なノウハウが必要になるでしょう。こうした点も頭に入れながら、現場の業務分析や情報共有の仕組み構築などを一から遂行する必要があります。