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人材不足が慢性化する時代のリスクマネジメント

第4回 限られた人材を早期に戦力化する

<ポイント3>早期の戦力化・ナレッジの蓄積を図るには

公開日:2019年5月18日

 もう一つの課題「早期の戦力化」ですが、一般的に有効と言われるのがOJT──新人に上司(教育担当)がマンツーマンで付き、現場業務のなかで対面トレーニングを行なう手法です。最初は上司がやってみせ、次に当人が実践、そのうえで振り返りというパターンが多いでしょう。

 ただし、ここでも「その業務の位置づけ」を明確にできるかがポイントです。確かに、一つひとつの介助に対して「事故などを防ぐにはこの点に注意」という指導は必要です。しかし、その介助が利用者の生活課題の解決にどう結びつくのかという視点がないと、新人のなかでは目先の注意点を守ることだけがミッションになってしまいがちです。

 これでは、自発的に自分で課題を探し、自ら工夫するという業務習慣が身に付きません。組織が作ったマニュアルに縛られがちな仕事になり、仮に部下ができたとしても根拠のある指導はできにくくなります。その意味で「戦力化」というのは、マニュアルにない状況でも、利用者の生活課題の解決という視野で仕事を組み立てられる状態を指します。そうした創造性のある業務ができてこそ、後進に伝えるナレッジが厚くなっていくわけです。

 以上の点を考えたとき、有効なのは、マンツーマンの対象を上司だけでなく利用者も含めるやり方です。特定の利用者をOJTの対象とすることで、その人なりの生活課題がどこにあるかという思考がしやすくなります。そうすると、一つひとつの介助について「なぜそうした配慮が必要なのか」という、課題と支援をつなぐ根拠が見えやすくなります。この根拠の作り方が身に着けば、ほかの利用者に対しての応用思考も培われていきます。

 以上は、あくまで早期の戦力化をめざした方策です。ただし、自分なりに根拠のある仕事ができれば、それは「介護業務の魅力」にもつながります。それ自体、離職防止の可能性を高めることにもなります。

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