人材不足が慢性化する時代のリスクマネジメント
第4回 限られた人材を早期に戦力化する
<ポイント2>まずは、入職したばかりの初期離職を防ぐ
最初に離職動機が高まるのは、「自分の立ち位置」が定まる前のタイミングです。
ここで事業主・管理者が考えるべきことは、やさしい上司や、包容力のある利用者に近づけて、入職者に「自分は承認されている」という実感を与えることです。特に、承認欲求が高い今の若い人たちには有効と言われています。
しかし、形だけの承認(例.とにかく褒めるなど)では、有効性は長続きしません。同時に必要なのは、そこに「実」を伴わせることです。言い換えれば、業務の流れのなかで「自分の役割がどこにあるのか」を客観視させることです。承認欲求を満たすのが「主観的」な居心地であるなら、こちらは「客観的」な居心地を定めることになります。初期離職を防ぐには、この両輪が必要です。
具体的には、入職者に対して、この現場ではどのようなケアをめざしているのかという「流れ」を示します。
例えば、現場が利用者の重度化防止から自立支援への流れを重視する場合、
①アセスメントをもとに重度化防止の課題を明らかにする
②その課題解決を妨げる(重度化を進める)要因に気付く
③その要因を共有しチームで対処する
④③の対処が正しいかを検証・改善して自立支援を進める
という具合です。
この流れのなかで、入職者に何を求めるかといえば、①によって利用者を理解しつつ、②の気付きをチームに伝えてもらうことです。食事、排せつ、入浴といった介助業務もその気付きを得るための機会であるという位置づけになります。こうすることで、「何のために(大変な)介助業務を延々と続けるのか」という疑問解消につながります。つまり、自分のやっていることの位置づけ、ひいては自分の立ち位置が見えてくることになります。