自立支援型介護を進める中でのリスクマネジメント
第3回 利用者の「状態変化」が進むなかでの情報共有・更新
◇ポイント3 次期介護報酬改定で外部職種との情報共有もさらに重要
さて、更新情報に関しては、介護職間のみならず看護師やリハビリ専門職など多職種との共有も必要です。さらに、地域包括ケアシステムの構築が進むなかでは、事業所・施設外の多職種との情報共有も欠かせません。
自立支援介護という点でいえば、2018年度の介護報酬改定で、(改定前は訪問介護のみに適用されていた)「生活機能向上連携加算」(*)を算定できるサービスが通所介護や短期入所生活介護、特養ホームなどにも拡大されました。加算の算定にかかる連携対象としては、外部の(医療機関も含めた)リハビリ職とともに医師も対象となっています。利用者情報が更新された場合は、そうしたリハビリ職や医師にも速やかな情報提供が必要になるわけです。
問題なのは、組織外の担当者との連携する“文化”が培われていないと、いざ「タイムロスなき情報共有を図ろう」としても、なかなかうまくいかないということです。組織“文化”や職能“文化”が異なる職種が相手になるわけで、お互いの立場を理解しあうという土台づくりには、それなりの時間と手間がかかるからです。
そこで、今後、自立支援介護にかかる連携が予想される外部の事業所・職種に対して早期にコンタクトをとり、情報連携のための手段やツールを整えるための協議を持つことが必要です。18年度から完全実施される在宅医療介護連携推進事業における「多職種協働研修」などの舞台を活用する方法もあります。
具体的にどのような多職種協議を進めればいいのか、また、相手方に連携加算への理解を求めるにはどうすればいいのか。そのあたりは、自立支援介護にかかる18年度改定の詳細も含めて、次回掘り下げましょう。
*生活機能向上連携加算
介護保険や医療保険の利用者が訪問介護などを利用する場合に、訪問介護事業者がリハビリ職や医師などと共同でアセスメントをとったり、リハビリ職等の助言を受けながら訪問介護計画などを策定してそれに沿って訪問介護サービスを提供する場合に算定できる加算。