自立支援型介護を進める中でのリスクマネジメント
第5回「高まりつつあるリスクにどう対処するか?~連携能力の育成とリスク解決の道筋~」
◇ポイント1 多職種連携のためのリーダー能力の育成
利用者の自立支援・重度化防止を柱とした2018年度の報酬・運営基準改定では、事業所・施設外を含めた多職種連携を要件等としたケースが目立ちます。この流れは次改定・次々改定でさらに強化されることが予想され、多職種連携はあらゆる現場で中心的な課題となっていくことは間違いありません。
この点を考えたとき、次世代のリーダー育成に向けて、「多職種連携に必要なスキル」を身に付けさせることが必須です。次世代リーダー候補は、入職3年を経過して介護福祉士を取得するといった人材が想定されます。そうした人材に向けた現任者研修などでも、(外部を含む)多職種連携にどう臨むのかを基礎的教育とすることが必要でしょう。
前回、多職種連携に必要なスキルをいくつか示しました。例えば、現場で抽出した利用者についての課題等を「外部の専門職に伝えやすい形」に整理・編集するスキル。外部職種等との連携に向けて、ケアチーム内の意思統一を図るなど組織内を取りまとめるスキル。さらに、外部の専門職と情報共有を図り、適切な支援・助言を受けやすくする環境を作るための対外交渉スキルなどです。
これらに共通するのは、以下の2点です。
①多職種による情報共有のルールやツールなどの仕組みを、「連携する当事者」の視点でフレキシブルに構築・改善できるマネジメント力。
②異なる立場の職種に「快く動いてもらう」ための人心掌握やコミュニケーションにかかる能力です。
ここにリスクマネジメントの視点を組み込みつつ、リーダーの共通的な素養と位置づけることがポイントとなります。
