自立支援型介護を進める中でのリスクマネジメント
第6回「自立支援策を導入するなかで、連携等の課題をどう解決していくか?」
◇ポイント3 現場側の「消化不良」を防ぐための手立て
事前合議によって連携体制が整えられたとしても、実務が進行するなかではさまざまな課題が浮上することがあります。例えば、特養ホーム側のスタッフが、連携相手と共同で作成した計画等をうまく消化できないという状況です。そこで欠かせないのが、連携に際しての課題の発見・分析・解決に向けた道筋です。
生活機能向上連携加算を例にとると、以下のようなケースが生じることがあります。一例としては、「先方の助言への理解が中途半端のまま、利用者の心身に無理な負荷をかけてしまった」などというケース。あるいは、「利用者にかかる情報を『連携相手に伝える形』で整理することが負担となり、情報共有に支障が生じた」などというケースです。
こうした状況を放置すれば、当然、事故リスクに直結します。外部の専門職が一定の根拠をもって「高度な訓練内容」を定めることもあり、それを未消化のまま実践すれば、より大きな事故に結びつく可能性もあります。
そこで、現場リーダーとしては、連携のタイミングごとに内部での振り返りを図ることが必要です。少なくとも、①初回アセスメントおよび個別機能訓練計画作成の後、②定期のモニタリングに際しての助言を受けた直後では振り返りを必須とすべきでしょう。その段階で、「理解が不十分な点」を内部スタッフからヒアリングし、取りまとめて連携相手に確認するという手続きが求められます。
また、「利用者の状態変化」等については、現場リーダーに情報を一元化する仕組みを強化し、連携相手との情報共有が確実に進むように図ることが必要です。もちろん、常設の現場リーダー(以下、「常設リーダー」)にかかる負担も大きくなるので、生活機能向上連携加算等を取得する場合には「加算対応」のリーダー(以下、「加算対応リーダー」)を別に立てることが望ましいでしょう。この加算対応リーダーが連携窓口となり、常設リーダーがそれを補佐していくという仕組みが理想的といえます。