自立支援型介護を進める中でのリスクマネジメント
第6回「自立支援策を導入するなかで、連携等の課題をどう解決していくか?」
◇ポイント1 生活機能向上連携加算の取得へ向けて
前回まで述べたように、自立支援に資するケアを展開するうえでは、組織内外の多様な職種間の連携が軸となります。この点について、実際の自立支援関連の加算取得を想定しつつ具体的な取組みを掘り下げましょう。
2018年度の介護報酬改定で、自立支援強化の流れで拡充が目立ったのが生活機能向上連携加算(以下、連携加算)です。特別養護老人ホーム(以下、特養ホーム)を例にとると、従来からの、個別機能訓練加算 (入所者ごとに作成した個別機能訓練計画に基いた機能訓練)に加えて、生活機能向上連携加算(外部のリハビリ事業所・医療機関と連携した機能訓練)を新たに設け、利用者の機能訓練の効果を上げるための仕組みとなっています。
①連携する外部の専門職(PT、OT、ST*および医師)が特養ホーム側を訪問し、その特養ホームの機能訓練指導員や介護・看護職員、生活相談員と共同して②を実施します。
②共同で実施するのは、利用者のアセスメント、心身の状況等の評価、および個別機能訓練計画の作成です。その際、①の外部の専門職は特養ホーム側のスタッフに対して日常生活上の留意点や介護の工夫等に関する助言を行ないます。
③②の個別機能訓練計画に基づき、特養ホーム側のスタッフが、利用者の心身の状況に応じて計画的かつ適切な機能訓練を実施します。
④①の連携する外部の専門職が3ヵ月に1回以上特養ホームを訪問し、③の機能訓練の進ちょく状況等について、特養ホーム側のスタッフと共同で評価を行ないます。そのうえで、利用者や家族に(機能訓練の内容や進ちょく状況等を)説明し、一連の流れを記録しつつ必要に応じて訓練内容等の見直しを行ないます。
*PT・・・理学療法士
OT・・・作業療法士
ST・・・言語聴覚士