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40~64歳の介護保険料の仕組みも変わる

一般公開日:2018.05.20

 私たちが納める介護保険料も、仕組みの変更があります。それが、40~64歳(第2号被保険者)のうち、被用者保険(健保組合や協会けんぽなど)に加入している人の保険料の算定法です。第2号被保険者の保険料については、各保険者が取りまとめて介護納付金として社会保険診療報酬支払基金に納めます。

 この介護納付金は、1人あたりの保険料基準を同じにしたうえで「各保険者の加入者数」によって決まります。つまり、加入者数が同じ保険者であるなら、原則として介護納付金額は同じになるわけです(協会けんぽの場合は、国庫補助があるので低くなる)。しかし、これだと大企業の健保組合のように加入者の報酬が高い所でも保険料の基準が同じとなり、加入者の負担感に差が生じることになります。

 そこで、被用者保険に限って介護納付金を「加入者数」ではなく、各保険の加入者の「総報酬」に比例させることとなりました(国民健康保険の仕組みは変わりません)。これにより、加入者の総報酬が高い被用者保険は保険料基準が高くなり、逆に総報酬が低い所は保険料基準が安くなるわけです。この新たな基準算出法を「総報酬割」といいます。

 もちろん、加入する被用者保険によって保険料基準額に差がつくわけですから、加入者(第2号被保険者)にとっては戸惑いもあるでしょう。そこで、激変緩和措置として総報酬割分について、2019年3月までは2分の1に、2020年3月までは4分の3としました。全面導入されるのは2020年4月からとなります。

 このように、将来に向けて「支え手」が不足するなか、お金の面で「負担できる人には高負担をお願いする」という仕組みを整えたわけです。しかし、介護保険サービスの利用が膨らみ続けるなか、「重い介護を必要とする人」を減らすことも必要です。この点について、次回は今改正で重点化された自立支援・重度化防止の仕組みについて取り上げましょう。

2018年介護保険制度の改正について
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【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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