介護医療院という新しい介護施設が誕生
自立支援や介護の重度化を防ぐための仕組みが強化される一方、利用者の高齢化が進むなかでは、「心身の状態がかんばしくない人」も増えざるをえません。そうなれば、持病やケガの後遺症などの管理をサポートしてくれる仕組みも必要です。医療と介護が一体となって提供されるサービスの必要性も高まってくるわけです。
2018年4月からの介護保険の見直しでは、この「医療と介護を一体的に提供する」仕組みを強化した新たな施設が誕生しました。それが介護医療院です。利用する人の状態の重さによってⅠ型とⅡ型の2種類があり(Ⅰ型の方が重い)、いずれも介護職員のほか、医師や看護職員、薬剤師といった専門職を一定数配置することが義務づけられています。
長期にわたり療養が必要な人の介護施設といえば、改正前から介護療養型医療施設(以下、介護療養病床)があります。ただし、この介護療養病床は6年後(2024年3月末)に廃止されることが決まっています。その介護療養病床からの転換も視野に入れつつ、新たな受け皿としたのが介護医療院というわけです。
介護医療院と介護療養病床で何が違うのかといえば、前者は入所者ひとりあたりの療養室(居室)の面積基準が8㎡と、後者の6.4㎡より広く、レクリエーションルームなども設けられていることです。この基準は、介護老人保健施設(以下、老健)と同じです。療養環境については、介護療養病床よりもリハビリを重視した老健に近付けたことになります。
なお、介護療養病床からの転換に際しては、大規模改修が済むまで6.4㎡でも運営できます。また、転換に際して、それまでの入所者や地域の人にきちんと説明する手間を報酬上でも評価する仕組みが設けられました。
【執筆者プロフィール】
田中 元/たなか はじめ
介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。
2018年介護保険制度の改正について
介護医療院という新しい介護施設が誕生