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入退院を繰り返すケース等も想定した仕組み

一般公開日:2018.07.22

 利用者の容態急変などのリスクが高まれば、「入退院を繰り返す」ケースも増えます。介護事業所・施設としては、外来・訪問のかかりつけ医等だけでなく、利用者の入院先の医療機関との情報交換などもしっかり行なわなければなりません。これが不十分だと、退院後のスムーズな介護の提供が難しくなります。

 例えば、入院によって環境が変われば、認知症の症状が悪化することもあり、また入院中は安静状態で運動機能も急速に低下しがちです。入院中に栄養摂取の方法(胃ろうなど)が変わることもあるでしょう。そうした状況を介護側が事前にきちんと把握し、必要な体制を整えることができるかどうかが、その後の利用者の生活状況を大きく左右します。

 こうした点を考慮した見直しも行なわれました。在宅の例をあげれば、担当ケアマネジャーが病院側主催の退院前カンファレンスにきちんと参加して、利用者の状態を把握することに高い報酬を付けています。認知症の人が入居するグループホームでは、本人が入院している間も一定の報酬が得られるようにし、退院後の受入れ体制を整えやすくしました。

 また、老健や特養などの介護施設に入所している人が入院し、先に述べた胃ろうのほか、嚥下しやすい食事調整が行なわれるなど栄養管理の状態が変わったとします。その場合、退院→再入所の前に、病院側と介護施設側の各管理栄養士がしっかりと情報を共有する仕組みも設けられました。

 ちなみに、「利用者の介護の重度化」という点では、重い認知症になるケースも想定しなければなりません。こうした認知症の人の増加に対して、どのような仕組みが整えられたのか。次回は、この点を掘り下げてみましょう。

2018年介護保険制度の改正について
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【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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