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地域ぐるみで認知症の人を支える仕組み

一般公開日:2018.08.19

 認知症の人が住み慣れた地域で穏やかに暮らすには、介護サービスなどを適切に利用することが必要です。ただし、施設等でない限り生活全般をサポートするのは困難です。人の生活は24時間・365日続いています。その流れをみすえた支えが必要になります。

 ここで必要になるのが、地域ぐるみのサポートです。例えば、認知症の人がひとりで外出して行方不明になるケースが後を絶ちません。そのとき、地域の人が本人を見かけて上手に対応し、家まで送り届ける、または警察や行政に保護をお願いしてくれれば、本人の安全・安心が守られ、今までの暮らしを継続することができます。

 これを実現するには、一般の住民に認知症の人への基本的な対応を知ってもらう必要があります。この一般向けの研修を認知症サポーター養成講座といい、全国各地で開催され、受講者はすでに1,000万人に達しています(※)。こうしたサポーターが、警察・行政・公共交通機関等と連携しながら、行方不明になった認知症の人の早期発見に取り組むという活動(SOSネットワークなど)も広がっています。

 また、こうしたサポーターなどが中心となって、「認知症カフェ」を開催する取組みも進んでいます(国から一部補助金があります)。これは、認知症の人やその家族が立ち寄ってお茶などを飲みながら交流する場です。サポーターであるスタッフにより、本人・家族が穏やかに過ごせる場を築くだけでなく、医療・介護の専門職も参加して本人・家族の相談にのることもあります。そこでなじみとなったサポーターが、本人宅を訪れて一緒に過ごすという取組み(厚生労働省は「認とも」という名称で普及を図っています)も見られます。

 こうした地域のさまざまな「支え」をコーディネートするために、認知症地域支援推進員(医療や介護の専門職)が市区町村に配置されています。

※全国キャラバン・メイト連絡協議会2018年6月末現在

2018年介護保険制度の改正について
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【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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