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国がかかげる地域共生社会というビジョン

一般公開日:2018.10.21

 少子高齢化により、高齢者介護などを担う現役世代の人口が減少しています。この傾向がますます進むと予想されるなか、国は以下のようなビジョンを示しています。

 例えば、高齢者を「支えられる側」だけに位置づけず、元気な高齢者は「支え手」となるなど、すべての人が地域で支え合う仕組みを築こうというものです。これを地域共生社会と言います。

 この仕組みづくりを具体化したのが、2017年に介護保険法とセットで改正された社会福祉法です。社会福祉法と言われても、ピンと来ない人がいるかもしれません。この法律は、介護などの高齢者福祉のほか、障がい者福祉や児童福祉、生活困窮者への支援など、私たちの暮らしにかかわる福祉の仕組み全体を示したものです。その第4条(地域福祉の推進)に、以下のような趣旨の条項が加わりました。

 それは、地域住民等(地域住民に加え、社会福祉関連事業を手がける者も含みます)に対し、地域生活課題について「把握」し、「関係機関との連携等によって解決を図る」よう「留意」を求めたものです。

 あくまで「留意」なので強制ではありません。とはいえ、地域の住民自身が、自分たちの周囲にあるさまざまな地域生活課題に気づき、解決に向けて積極的にかかわることを求めています。地域がめざすべき「互助的」な支え合いを、法律で位置づけたことになります。

 介護や福祉の問題については、当事者でなければ「自分とは関係ない」と考えがちです。そうではなく、あらゆる地域生活課題をすべての住民が「わが事」としてとらえていく──こうした社会づくりがめざされたわけです。

2018年介護保険制度の改正について
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【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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